5Gやローカル5Gでさらに進化するスマート農業 イメージ
#スマート農業#AI#スマートグラス#ローカル5G

5Gやローカル5Gでさらに進化する
スマート農業

2021年09月03日

「朝から晩まで重労働」、「長年の経験が必要」といった農業のイメージが変わりつつある。IT技術や5Gを活用し、ロボットで遠隔から農作業を行ったり、非熟練者であってもAIの支援で効率的に農作業を行う、スマート農業が普及している。そして今、5Gやローカル5Gによって、スマート農業がさらに進化しようとしている。5Gで実現する農業の未来の姿を紹介する。

スマート農業で、日本の農業の課題を解決

センサーで取得した情報を解析し、農作物の生育や病害を予測したり、ロボットやドローンで農作業を自動化するなど、先端技術を活用するスマート農業。2019年度には、農林水産省が全国69カ所で「スマート農業実証プロジェクト」を開始するなど、日本での導入拡大に向けた取り組みが拡大しており、日本の農業が抱える高齢化や人手不足などの課題解決策として期待が集まる。

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スマート農業には通信が不可欠であり、5Gやローカル5Gを活用することで、ロボットの遠隔操作や農作業の遠隔支援のさらなる高度化が実現できる。ローカル5Gを活用したスマート農業の実現を目指す実証プロジェクトも増加しており、2021年度には、総務省と農林水産省の連携による、ローカル5Gを活用したスマート農業加速化の実証が行われる予定となっている(2021年7月15日に公募終了)。具体的に、5Gやローカル5Gを活用することでどのような成果が期待できるのか、見てみよう。

ローカル5GでAIのガイドをスマートグラスに表示し、シャインマスカットの品質を管理

種無しで、皮ごと美味しく食べることができる手軽さからシャインマスカットの人気は高く、一房ごとのブドウの粒は、35から40粒が適正な大きさとされる。これ以上粒数が多くなると、密着して粒が割れてしまい、品質劣化につながるため、栽培中に、適正な粒数になるよう不要な粒を取り除く「摘粒」作業が必要だ。他にも、開花期に花の長さを調節する「房づくり」など、長年の経験が求められる作業が多く、就農人口が高齢化するなかで、熟練者の技術やノウハウを、新規就農者や、短期の雇用労働者に伝えていくことが急務となっている。ここで、スマートグラスとローカル5Gが登場する。

山梨県で行われた実証実験では、ブドウの粒数をAIでカウントしスマートグラス上にガイド表示することで、「摘粒」作業を効率化したり、シャインマスカットの色をAIで解析することで、最適な収穫時期を判定する検証が行われた。スマートグラスの映像がAIを搭載したサーバに伝送され、その解析結果がスマートグラスに表示される仕組みだが、その通信にローカル5Gを利用することで、遅延なく、リアルタイムでAIからのガイドを受けながら農作業を行うことが可能になった。同実証を取りまとめるNECは、非熟練者がスマートグラスを使わずに作業した場合と比べて作業時間を半分程度に短縮することを目標に、AIの検知精度の改善などに取り組んでいる。

ローカル5GでAIのガイドをスマートグラスに表示し、シャインマスカットの品質を管理 イメージ
スマートグラスを通した作業者の視界
(AIとスマートグラス表示プログラムを開発した山梨大学より提供)

遠隔支援の効率化、高度化に大きく貢献する5G

スマートグラスと5G/ローカル5Gを活用した事例としては、NTTドコモが2020年1月から高知県で行っている実証や、今年6月に東京都で開始された実証がある。高知県では、スマートグラスから送られた画像を県立農業担い手育成センターの指導員が確認し、遠隔からの指導や支援を行っている。同センターでは、ナスやキュウリ、ピーマンなどを栽培している。圃場の研修生が、ナスの傷の画像をスマートグラスで送ると、指導員が虫によるものか、病気なのかを判定し、どのように対応すべきかを指示する。指導員が指示内容を描画して送信すると、その内容が研修生のスマートグラスに投影される仕組みだ。

NTT東日本などが参加する東京都の実証では、スマートグラスだけではなく、遠隔操作で走行するカメラも活用し、東京都農林総合研究センターの研究者が遠隔から農作業支援を行う。スマートグラスやカメラで栽培中のトマトの状態を撮影し、研究者から病気の予防や手入れ、収穫のタイミングなどについての助言を受ける。遠隔からの支援を効果的に実施するためには、高画質の画像や映像を高速で伝送することが不可欠であり、この点で、5G/ローカル5Gが果たす役割は大きい。4Gでは確認できなかった色味や質感の情報を遅延なくやり取りすることができるようになることで、スマート農業はさらに進化していくだろう。

遠隔支援の効率化、高度化に大きく貢献する5G イメージ

数百頭が自由に動き回る牛舎で、特定の乳牛の居場所を5Gで判定

5Gで実現するのは遠隔からの支援や指導だけではない。2019年には、北海道のとかち村上牧場で、牛舎内に5G環境を構築し、耳標の読み取りによる乳牛の居場所の把握と遠隔からの乳牛の見守りを行う実証実験が行われた。乳牛の4K映像を5Gでリアルタイムに伝送し、乳牛の居場所を特定することで、獣医検診などを行う際に、人手や時間をかけることなく、対象の乳牛の居場所を特定することができる。北海道では、牛が牛舎内を自由に歩き回れる「フリーストール牛舎」の導入が進んでおり、数百頭もの中から獣医検診や健康管理の対象となる牛を効率的に見つけ出す手法が求められており、5Gが同分野の解決策として期待されている。もちろん、高精細映像を通じて、飼育している乳牛の状態を牛舎外の事務所からリアルタイムで確認し、乳牛の見守りに活用することも可能だ。

数百頭が自由に動き回る牛舎で、特定の乳牛の居場所を5Gで判定 イメージ

このように、IT技術を活用したスマート化が進む農業においては、5Gを活用することで大きな効率化、高度化が実現可能だ。5G環境の構築やスマートグラスなどの機器導入の費用が課題ではあるが、技術の進歩にともない低価格化が進めば、農業分野における5G活用は、いずれは「当たり前」になっていくだろう。

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