デジタルツインで実現するスマートシティが都市の課題を解決 イメージ
#スマートシティ#デジタルツイン#5G#スマート東京#IOWN

デジタルツインで実現する
スマートシティが都市の課題を解決

2021年06月14日

本年2月、トヨタが静岡県裾野市にスマートシティ、「Woven City」(ウーブン・シティ)を建設、地鎮祭が行われた。その光景を全国ほとんどのメディアが報道し、その話題は日本中を駆け巡った。近年、全国でICT等の新技術を活用し、都市の課題を解決する「スマートシティ構想」が活発化している。国内のスマートシティ関連IT市場は、2022年に、2018年の倍以上(9,964億円)にまで膨れ上がるという。すでに首都圏をはじめ、福島(スマートシティ会津若松)や香川(スマートシティたかまつ)、北海道(DATA-SMART CITY SAPPORO)でプロジェクトが展開されている。

デジタルツインで未来予測、被害発生前に救助を派遣

スマートシティの実現に向けて注目されるのが、デジタルツインという技術だ。元々は製造業で活用が始まった技術であるが、デジタル空間上に、現実空間の情報を再現することがからデジタルの双子(ツイン)と呼ばれる。この「ツイン(双子)」を利用して、フィジカル空間のモニタリングを行ったり、精度の高いシミュレーションや分析、未来予測を行うことができる。現実空間の都市や住民の状況をデジタル空間に再現し、都市の人流データを解析して混雑予測を行うのも利用法の一例だ。将来的には、シミュレーション結果を自動運転車の制御に反映させることで、渋滞のない社会を実現できる。また、災害による被害規模を予測し、最適な救援・救助計画を策定することも可能になる。予測の精度が高まれば、実際に被害が発生する前に、それを予知して救援チームを送り出すこともできるのである。

大災害が発生し、建物やインフラの位置が分からない場合にも、デジタルツインがあれば、正確な三次元情報をもとに復興作業を行うことが可能だ。また、デジタルツインには、過去の都市の姿がどうだったかを伝える、アーカイブとしての価値もある。

デジタルツイン 正確な三次元情報イメージ1
デジタルツイン 正確な三次元情報イメージ2

5Gの普及とデジタルツインの活用でスマートシティの実現が加速

都市レベルでのデジタルツインを構築、運用するには、膨大な量のデータ通信を支える通信環境が必要だ。2021年は、5Gの普及とともに、デジタルツインの活用が加速する。東京都は、西新宿やベイエリアなどの先行エリアから「スマート東京」の実現を目指している。デジタルツインを活用し、リアルでは実施が難しい分析やシミュレーションを行うことで、行政サービスの改善を狙っている。昨年4月に緊急事態宣言が発令された時には、西新宿の道路単位で、3月と比較した4月時点の通行量の増減率を可視化した。このようにデータを蓄積することで、政策の効果を事前に検証することが可能になる。

デジタルツインの利用促進に向けた取組みも進めており、3月、試験的に都営大江戸線都庁前駅の3D点群データをオープンデータとして公開した。国土交通省では、「国土交通データプラットフォーム」の整備を進めている。デジタルツインの基盤として、2022年度から行政や企業がこのプラットフォームを本格的に利用できるようになるという。このようなデータに、リアルタイムな気象データを連携することで熱中症リスクを予想するというような活用法も考えられる。ミライトが、2月から開始している建造物や自然環境の正確な3D 座標を、点群データとして取得するサービスもデジタルツインだ。特定の場所のデジタルツイン構築のため、点群データを取得する民間サービスも出始めている。

NTTは、2030年代の商用化を目指すIOWN構想の柱の一つとして、現実世界の都市や個人をサイバー空間に再現する巨大なデジタルツインの実現を目指している。2025年には都市のデジタルツイン上で渋滞予測を実現し、2027年には、ヒトの思考や記憶をデジタル上に再現し、「もう1人の自分(Another Me)」を生み出すことを目標に掲げる。

スマートシティ構想の実現には、住民や社会が納得するデータ活用が鍵

スマートシティ構想は、3つの段階を踏んで進化している。主に省エネを主眼とした第一世代から、自治体のデータ基盤構築を進めた第二世代、そして集めたデータを分析し、新たなサービスを提供しようとする第三世代へと進化している。データ活用で、より良いサービスが生まれる期待が高まる一方で、データの所有権やプライバシーの保護について懸念も高まっている。

2020年5月、グーグル傘下の企業が、カナダ・トロントで進めてきたスマートシティープロジェクトを断念した。各所に設置されたセンサーから得られる情報と、住民のアカウント情報を連携して、最適なサービスを提供するとの触れ込みだったが、「監視資本主義の植民地化実験」だと住民の理解が得られなかった。住民や社会がいかにデータ活用を納得するかが、スマートシティ構想の成長の鍵を握る。

メールマガジン登録

5G×IoTの最新情報やイベント・セミナー情報を
いち早くお届けします。

ミライトのソリューションに関するご質問、ご相談など
ございましたらお気軽にお問い合わせください。